1969 年 22 巻 3 号 p. 188-192
59Feの血液への取り込みを指標として造血機能を注目して放射線影響とタンパク質栄養との関係について実験を行なってきたが, 前報の死亡率による実験の結果とほぼ平行性がみられる結果を得た。 すなわち照射後低タンパク質飼育を標準タンパク質飼育に戻すことにより造血機能の回復効果がみられた。
次にタンパク質を一部アミノ酸混合で置き換えた実験では, アミノ酸による置換は放射線障害の造血機能に回復効果を幾分示すがタンパク質そのものに比べて良い結果を示さなかった。 またイノシンの添加効果に関しても明確な結果が得られなかった。
またこの59Feの取り込みによる方法を用いてタンパク質栄養の放射線障害の回復期における造血機能を経時的にみた実験では, 照射後1週間ぐらいから骨髄機能の回復がみられ, その回復にタンパク質栄養が大いに役立っていると思われる結果が得られた。
このように59Feの血液への取り込みによる造血機能の放射線障害時およびその回復期における動向についてタンパク質・アミノ酸栄養の量的な影響について追及してきたが, 次にタンパク質の質的な問題すなわちアミノ酸構成の影響について必須アミノ酸に注目して実験を進めたいと思う。