2022 年 51 巻 5 号 p. 314-320
50歳,女性.異型大動脈縮窄症(III型)に対し33年前に上行大動脈-腹部大動脈バイパス手術を施行.5年前にバイパスに使用した人工血管の非吻合部嚢状瘤に対してステントグラフト内挿術(TEVAR)施行.今回,前回とは別の部位の人工血管非吻合部拡張と腹部大動脈との吻合部仮性嚢状動脈瘤,両側腎動脈起始部狭窄とを指摘,吻合部仮性嚢状動脈瘤に関して手術適応と判断した.年齢より再開腹下根治手術を考慮したが,術前造影CTにおいて,下腸間膜動脈(IMA)から腹腔動脈(CeA)・上腸間膜動脈(SMA)へ豊富な側副血行路が発達しており,再開腹症例で癒着も想定され,その側副血行路損傷による出血はもとより,腹部全虚血となるリスク等を考慮し,開腹手術はハイリスクと考えられたため,Hybrid手術を計画.両側腋窩動脈-外腸骨動脈バイパス+中枢吻合部take down+腹部ステントグラフト内挿術(modified Double D Technique)+瘤内コイル充填術を行い,エンドリークを残さず手術を終了.POD 13に両側腎動脈にバルーン拡張を追加しPOD 37自宅退院.2.5年経過後も特に問題なく外来通院中である.