日本心臓血管外科学会雑誌
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[先天性疾患]
Long-segment Coarctation に対して大動脈再建術を施行した1例
中尾 充貴黄 義浩木ノ内 勝士阿部 貴行野村 耕司
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2017 年 46 巻 2 号 p. 66-69

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抄録

縮窄距離の長い大動脈縮窄症に対する血行再建では狭窄の残存,上行大動脈の屈曲,気道狭窄が起きうる.また,吻合が届かない場合は人工血管を介在させる再建法を行う必要があるが,将来再手術が不可避である.われわれはend-to-end anastomosisに鎖骨下動脈フラップ法を組み合わせることにより自己組織のみによる縮窄解除を施行し,良好な術後経過をたどった症例を経験したため報告する.症例は2カ月男児.夜間呼吸困難と哺乳力低下のため来院した.超音波検査にて大動脈縮窄症,心室中隔欠損症,動脈管開存症,肺高血圧症を指摘された.術前造影CTにて縮窄距離は15 mmにおよび,上下肢圧較差は40 mmHgであり早期手術介入の方針となった.アプローチは左側開胸にて行った.鎖骨下動脈フラップにて縮窄部の径を拡大させることにより遠位弓部を延長し,下行大動脈と端々吻合を行った.術後3年の心臓カテーテル検査では再狭窄や弓部の変形はみられておらず,肺動脈圧も正常範囲となっている.術後7年で合併症は認めておらず,本術式は縮窄距離の長い大動脈縮窄症に対して有用であると考えられた.

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