日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
血栓閉塞型 B 型急性大動脈解離破裂に対する2手術例
後藤 新之介松井 雅史河合 憲一真鍋 秀明高木 寿人梅本 琢也
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2010 年 39 巻 4 号 p. 195-198

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抄録

血栓閉塞型急性大動脈解離(intramural hematoma(IMH))は内科的治療での遠隔期成績は良好で特にStanford B型では良好であるとされている.今回我々は血栓閉塞型B型急性大動脈解離破裂症例に対し上行弓部置換術を施行した2例を経験した.症例1は77歳女性.胸背部痛で発症し胸部CTにてB型急性大動脈解離を認め,当院に救急搬送された.血栓閉塞型B型急性大動脈解離破裂の疑いにて緊急手術を施行した.胸骨正中切開でアプローチし,遠位弓部から下行大動脈移行部に左胸腔への破裂を認めた.解離は遠位弓部から胸部下行大動脈に及び偽腔は血栓閉塞していた.上行弓部大動脈人工血管置換術を施行したが術後167日目に呼吸不全にて死亡した.症例2は60歳男性.胸背部痛で発症し胸部CTにてB型急性大動脈解離を認め,当院に救急搬送された.遠位弓部・胸部下行大動脈に血栓閉塞型解離,左胸水・心嚢液の貯留を認め緊急手術を施行した.胸骨正中切開でアプローチし,上行弓部置換術を施行した.術後多発脳梗塞を認め加療したが術後13日目敗血症にて死亡した.いずれも救命し得なかったが,血栓閉塞型B型急性大動脈解離破裂に対する手術例は稀な症例と考えられる.また,症例を選べば胸骨正中切開でアプローチすることも可能であり,迅速性・簡便性から選択肢の一つと考えられる.

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