2007 年 36 巻 3 号 p. 166-169
症例は75歳,男性.狭心症により前医で,左回旋枝と左前下行枝に合計4個の薬剤溶解性ステント(DES)を挿入されチクロピジンとアスピリンを内服していた.その後,胸痛が再発し,冠動脈造影で冠動脈左主幹部+2枝病変を認め,大動脈内バルーンパンピング(IABP)挿入後,緊急転院した.緊急冠動脈バイパス術の施行後,3,245mlの大量出血を認めたため,再開胸止血術を行った.再開胸止血術後は順調に回復した.DESを挿入されチクロピジン投与中のまま手術すると出血,輸血,再開胸止血術などのリスクが高まるものと思われ注意が必要と考えられた.