日本心臓血管外科学会雑誌
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多房性胸部大動脈瘤を形成した大動脈縮窄症の1手術例
横山 晋也内藤 祐次高 英成片山 博視
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2005 年 34 巻 5 号 p. 370-373

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抄録

症例は9歳,男児.多房性胸部下行大動脈瘤を伴う大動脈縮窄症と診断され,当院を紹介受診した.大動脈瘤を伴い,しかも年長児であるため自己組織のみによる再建は難しいと思われたが,人工血管を用いた再建では遠隔期の再狭窄が懸念された.手術は分節遮断,下半身血流は部分体外循環下に行い,大動脈弓部および下行大動脈を広範囲に剥離遊離することで,直接拡大端々吻合を施行することが可能であった.前脊髄動脈系への血流確保のため,肋間動脈を同時に剥離し温存した.術後経過は良好で,術翌日には上下肢圧差は消失し,術後6ヵ月後に施行した3D-CTも狭窄は認めなかった.術後5年を経過したが,とくに問題なく経過している.

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