日本心臓血管外科学会雑誌
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外傷性三尖弁閉鎖不全症の1手術治験例
三角 隆彦大蔵 幹彦南雲 正士志水 秀行
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1992 年 21 巻 5 号 p. 484-488

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抄録

非穿通性胸部外傷による三尖弁閉鎖不全症に対して, 受傷18年後に手術を施行した症例を経験した. 症例は58歳男性で, 交通外傷後18年目に下肢浮腫と易疲労感を主訴に来院した. 胸部X線写真上心胸廓比は72%で, 心電図上心房細動と完全右脚ブロックを呈し, 心エコー検査にて三尖弁前尖と後尖の右房内反転とカラー・ドプラ上著明な三尖弁逆流を認め, 心臓カテーテル検査では右房圧v波が23mmHgと上昇を認めた. 手術所見は三尖弁前尖と後尖の一部まで広範囲に及ぶ腱索断裂で, Carpentier-Edwards 心膜弁33mmによる弁置換術を施行した. 本症例は外傷性三尖弁閉鎖不全症の本邦手術報告例19例目にあたり, これまでの報告例とあわせ文献的考察を加えた.

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