日本心臓血管外科学会雑誌
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急性A型解離性大動脈瘤の外科治療成績
とくに超低体温・循環停止法による上行大動脈グラフト置換手術例の検討
石井 浩二松居 喜郎合田 俊宏佐久間 まこと明神 一宏安田 慶秀田辺 達三
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1992 年 21 巻 5 号 p. 443-446

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抄録

A型解離性大動脈瘤は心タンポナーデ, 大動脈弁閉鎖不全, 心筋虚血などの心合併症をおこしやすいため急性期に緊急手術を必要とすることが多い. 本症では病態が重篤であるのに加えて, 大動脈組織が脆弱で縫合手技も困難なため手術成績は必ずしも満足すべきものではない. 今回, われわれが行っている超低体温・循環停止法を用いた上行大動脈人工血管置換術の成績について報告する. 症例は8例, 男性1例・女性7例平均年齢は59.6歳であった. 平均最低直腸温は19.6℃, 平均脳循環停止時間は35.5分であった. 8例中6例を救命できた. 脳循環停止に伴う重篤な合併症はなく, 生存例すべて後遺症を残さずに社会復帰できた. 重篤で生命予後の悪い急性A型解離性大動脈瘤に本術式を応用することによって手術手技と手術操作が簡略化され手術成績の向上が得られた.

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