1992 年 35 巻 6 号 p. 635-644
障害児 (主として脳性麻痺児と精神運動発達遅滞児) の聴力を判定するために, 聴性誘発反応 (ERA) とCOR, BOAを測定し比較検討した。 対象55例を, I群COR成功群, II群CORがBOA相当となった群, III群COR不成功でBOAのみを施行した群に分類した。 I群-II群間およびI群-III群間に, 年齢構成で差が認められたが, 疾患に差異はなかった。 III群でやや重度な例が多かった。 I群では, COR閾値はややERA閾値修正値より高いが, 両者はよい相関を示した。 II群では, COR閾値はさらにERA閾値修正値より高いが, 相関性は保たれ, BOA閾値は, ERA閾値修正値とCOR閾値より近く, よい相関を示した。 III群では, BOA値は, ERA閾値修正値と有意な相関を示さなかった。 障害児においても, BOA, CORは有用な検査であり, ERAと良い相関を示すことが多く, その聴力判定にこれらの結果は十分参考になると思われる。