日大医学雑誌
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総  説
大学教員と論文業績
早川 智
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2022 年 81 巻 2 号 p. 87-91

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抄録

学問とは,人類の過去の知の体系に新たな知見を加えることである.ヒポクラテスやガレノス以来二千数百年,多くの医師,医学者の献身的な努力が現代医学の礎となった.我々が日々の診療や教育,研究に全力を挙げて努力するのは当然のことであるが,その過程で新たな発見をすれば論文発表することで医学の発展に寄与できる.個人のレベルでは研究費の獲得や資格獲得,昇進にも論文業績は常に評価される.ただ,その過程で不正があることは許されず,不正が発覚した場合は地位を失うのみならず,誤った情報は医学の発展の害になる.論文業績は Citation index や h-index でかなり客観的に評価できるが,絶対的なものではない.さらに医学部教員の場合,診療実績や教育実績も論文と同じように重要であることを忘れてはならない.大学の使命は研究者と学生の共同体における真理の探究である.学問を通して真理が探究されるがゆえに,研究は大学の基礎要件である.(「大学の理念」,カール・ヤスパース 1948)

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