2017 年 46 巻 p. 167-174
【目的】Spot™ Vision Screener(SVS)は小児の視覚スクリーニングに有用であるが、斜視を伴う例の検討は少ない。我々はSVSを様々な眼・全身疾患をもつ小児に施行し、斜視の検出及び斜視眼の屈折の測定精度について検討した。
【方法】対象は2016年1~8月に当科でSVSを行った393例で、年齢は2か月~23歳(平均56±41か月)、眼・全身疾患を26.0%、26.5%に合併していた。SVSによる斜視の検出を近見眼位検査と比較検討した。次に斜視眼の屈折について、斜視時と固視時の等価球面度数の差(SE差)を、非調節麻痺下群と調節麻痺下群に分けて検討した。
【結果】斜視の検出を検討できた118例でSVSの鋭敏度は94.7%、特異度は92.9%であった。斜視眼固視でもSVSを測定できたものは38例(内斜視22例、外斜視15例、上下斜視1例)であった。非調節麻痺下群29例41眼のSE差は-3.25D~+2.75D(平均-0.17±1.08D)で、機器の屈折精度範囲を超える差を22眼(53.7%)に認め、うち14眼(63.6%)が近視寄り、8眼(36.4%)が遠視寄りの値を示した。調節麻痺下群9例12眼のSE差は-1.25D~+0.50D(平均-0.29±0.41D)で、1眼のみ精度範囲外の値を示した。
【結論】SVSは斜視の検出に有用であるが、非調節麻痺下における斜視眼の屈折の測定精度は低下する。