日本視能訓練士協会誌
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一般講演
成人の複視の軽減を目的としたプリズム眼鏡処方前のフレネル膜プリズムの貸出し
藤原 久美鵜飼 喜世子高井 佳子伊藤 逸毅寺崎 浩子
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2015 年 44 巻 p. 35-42

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抄録

【目的】成人の複視の改善を目的としたプリズム眼鏡処方前のフレネル膜プリズム(以下、フレネル膜)の貸出しの有用性について検討した。
【対象及び方法】2010年1月1日から2013年12月31日に名古屋大学医学部附属病院を複視を訴えて受診した20歳以上の患者のうち、フレネル膜を試行した66名と、試行無しでプリズム眼鏡を処方した39名、計105人を対象とした。試行期間と試行後の処方形態、試行期間中の度数の変更回数、プリズム眼鏡処方から3か月後の使用状況について診療録を用いて後ろ向き研究を行った。
【結果】66名の試行後の処方形態は、フレネル膜処方が21名、組み込みプリズム眼鏡処方が20名、フレネル膜と組み込みプリズムの併用処方が4名、複視消失によるプリズム不要が16名、複視消失が得られなかったプリズム不適応が5名であった。フレネル膜度数の1回以上の変更は試行1か月以上で74%であった。プリズム眼鏡処方3か月後の状況は試行有りでは全員継続、試行無しでは継続29名、変更3名、中止7名であった。試行有りでは有意に継続装用の率が高かった(p<0.01)。
【結論】処方形態、フレネル膜度数の決定には試行期間を設けることが有用であった。成人の複視の軽減、消失を目的としたプリズム眼鏡処方前のフレネル膜の貸出しは、処方形態、プリズム眼鏡度数の決定、継続装用に有用であった。

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© 2015 公益社団法人 日本視能訓練士協会
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