日本視能訓練士協会誌
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一般講演
眼軸長/角膜曲率半径比を用いた眼内レンズ度数計算式の評価
澤田 園枩田 亨二新田 朋美丸中 夏央里北川 由貴西村 宗作中西 正典
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2014 年 43 巻 p. 73-80

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抄録

【目的】眼軸長/角膜曲率半径比(以下、AL/CR比)は眼球の屈折バランスを反映する指標である。これを含めた術前指標を用い、眼内レンズ(以下、IOL)度数計算式の予測精度を評価する。
【対象と方法】対象は2010年1月から2012年10月に白内障手術を施行し、NY60(HOYA)を挿入した術後1ヶ月時の矯正視力が0.8以上であった271例386眼。術前のIOLマスター™での眼軸長、角膜曲率半径、前房深度およびAL/CR比に着目し、症例を各3群に分類した(例えばAL/CR比:<3.0・3.0~3.3・≧3.3)。SRK/T式、Haigis式、およびSRK/T式を改良したT2式について、対象症例で最適化した定数を用い、術後屈折誤差を各指標の群間で比較した。さらに、各式の予測精度に関わる予測術後前房深度と各指標の相関についても検討した。
【結果】検討指標のうち、AL/CR比にてSRK/T式とHaigis式で群間有意差を認め(p<0.01、Kruskal-Wallis検定)、前者は低AL/CR比で、後者は高AL/CR比で遠視性誤差の傾向を示した。一方、T2式ではいずれの指標においても群間有意差を認めなかった。またAL/CR比は他の指標に比して予測術後前房深度と強く相関していた(SRK/T:r=0.97、Haigis:r=0.76、T2:r=0.99、Pearson積率相関係数)。
【結論】AL/CR比は術後屈折誤差リスクの指標として有用である。IOL度数計算式はこれを含めた各種術前指標の全域で群間有意差を認めないことが理想であり、T2式はこの理想に最も近く、安定した精度を示した。

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© 2014 公益社団法人 日本視能訓練士協会
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