2010 年 39 巻 p. 239-243
目的:加齢黄斑変性症を有する患者での小数視力表とlogMAR(logarithm of the minimum angle of resolusion)表との視力評価における差異を評価すること。
対象及び方法:加齢黄斑変性と診断された症例58名60眼を対象とし、小数視力表とlogMAR表それぞれで視力を計測した。小数視力表で得た測定値はlogMARに変換後、logMAR表で得たlogMAR値と比較した。両検査の結果の差の要因として、年齢、等価球面度数との関連性を相関解析にて分析した。
結果:60眼のうち、29眼(48.3%)は小数視力表の視力値と比較してlogMAR表の視力値は低下した。両検査で得た視力値の差との間に、年齢、等価球面度数に関しては有意な相関関係はなかった。小数視力の値が良いほど、有意にlogMAR表で得た視力値は悪かった。
結論:加齢黄斑変性症の患者での視力評価において、比較的良好な視力域では小数視力表とlogMAR表の結果に差が出やすい。これは字詰まり効果によるものと考えられ、この事項は臨床検査において注意すべき点と思われる。