日本視能訓練士協会誌
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一般講演
半視野異常を有する緑内障症例の網膜神経線維層厚の検討
秦 規子肥田野 めぐみ中村 瑞紀小林 昭子丸山 勝彦原澤 佳代子遠藤 成美後藤 浩
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2010 年 39 巻 p. 135-139

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抄録

 半視野異常を有する緑内障症例30例30眼と正常者15例15眼を対象とし、半視野異常症例の異常半視野と正常半視野、ならびに正常者の上下総半視野の各半視野における平均total deviation(TD)と、対応する半周網膜神経線維層厚(RNFLT)の比較検討を行った。なお、視野の測定にはHumphrey自動視野計(HFA)中心30-2 SITA standardを用い、RNFLTの測定は光干渉断層計(Stratus OCT)のサークルパターンFast RNFL thickness(3.4)、RNFL thickness average analysisで行った。半視野異常症例の異常半視野と正常半視野、ならびに正常者の総半視野のTDは、それぞれ-7.85±6.58dB、0.02±1.33dB、-0.06±1.13dB(平均±標準偏差)で、異常半視野におけるTDは正常半視野、正常者のTDと比べ有意に低かったが(p<0.0001, 対応のないt-検定)、正常半視野と正常者のTDの間には有意差はなかった(p=0.8056)。また、異常半視野に対応する半周RNFLTは74.6±15.9μm、正常半視野に対応する半周RNFLTは95.7±13.1μm、正常者の半周RNFLTは103.7±11.5μmで、異常半視野の半周RNFLTは正常半視野ならびに正常者の半周RNFLTより有意に低値であったが(p<0.0001、対応のないt-検定)、正常半視野の半周RNFLTも正常者と比較すると有意に菲薄化していた(p=0.0146)。
 緑内障症例では、TDが低下していない正常半視野に対応する神経線維層にもOCT上、菲薄化がみられることから、本症の早期診断に有用な診断法となる可能性がある。

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