九州病害虫研究会報
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病害
栽培管理の異なる宮崎県のマンゴー農家ハウスにおける炭疽病の発生実態調査
寺本 敏本山 宏今村 幸久
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2009 年 55 巻 p. 57-61

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抄録

2005~2006年に宮崎県内農家の完熟マンゴーハウス (6 ~ 7月収穫) において栽培管理(防除履歴,温湿度,剪定枝葉等の植物残渣量)の実態を調査し,炭疽病発生との関連性について検討した。薬剤防除に関しては,年間防除回数が多い園での発病果率が低く,特に収穫開始前の 6月に防除した園での発病が少なかった。ハウス内温湿度については,梅雨期を中心とした 6月の高湿度(相対湿度95%以上)累積時間と炭疽病発病果率との間に有意な正の相関関係が認められた。また,マンゴー葉剪定残渣量が多い園での発病が多く,これが本病の重要な伝染源となっていることが示唆された。さらに,稲わらを敷設した園では発病が比較的少なく, 6月にハウス内が高湿度となる頻度も低かった。以上のことから,マンゴー炭疽病の発生に対し,薬剤散布回数・時期,伝染源としてのマンゴー剪定残渣の有無およびハウス内の相対湿度が密接に関係していることが示唆された。

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© 2009 九州病害虫研究会
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