九州病害虫研究会報
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果樹カメムシ類の生態と防除に関する研究 第2報 重回帰分析によるツヤアオカメムシおよびチャバネアオカメムシの発生量の予測
寺本 敏山本 栄一野中 耕次黒木 修一
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1992 年 38 巻 p. 170-175

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抄録

1.果樹を加害するツヤアオカメムシおよびチャバネアオカメムシの後期(8~11月)発生量の長期予察を目的として,各種気象データ,4~7月の予察灯誘数データから8~11月の予察灯誘殺数を求める予察式を重回帰分析により作成した。
2.得られた重回帰式のうち,過去のデータに対する適合性が優れ,早期に予測値を得ることができる最良モデルの説明変数には,両種カメムシとも前年夏期および当年春~夏期の気象要因(平均気温,日照時間)が含まれ,さらにツヤアオカメムシには4~7月の予察灯誘殺数が含まれた。
3.最良モデルの予測性を両種で比較した場合,チャバネアオカメムシの適合度がやや劣ったが,ツヤアオカメムシでは,6月末の比較的早い時期での予期予察の可能性が示唆された。
4.重回帰分析の結果から,2種カメムシの多発被害をもたらす気象要因として,前年夏期(6一一8月)が高温で日照時間が多く,当年春~夏期(3~6月)が高温
で日照時間の少ないこと,さらに当年7月下旬以降10月中旬頃までに台風の影響を強く受けることが想定され,前者は本種個体群の増殖に好影響を与え,後者は成虫の飛翔行動を誘起するものと推察された。

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