九州病害虫研究会報
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ブドウ晩腐病に対する休眠期における有機ひ素剤の散布の防除効果について 第1報 ほ場における防除効果について
野口 保弘
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1969 年 15 巻 p. 76-81

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抄録

ブドウ晩腐病に対する有機ひ素剤の休眠期散布による防除効果について,本県での主な栽培品種であるキャンベルアーリーと巨峰において調査をおこなった。
1.現地ほ場における収穫果実の被害状況調査の結果,休眠期の有機ひ素剤散布の本病害に対する防除効果に対する防除効果は全くの無散布に比べるとかなり高かったが,慣行のPCP加用石灰硫黄合剤に比べると必らずしも十分ではなかった。また年次による効果の差や園による発病差が大きかった。
2. 無袋栽培下での発病状況の推移をみるとPCP加用石灰硫黄合剤散布区に比べ,特に顕著な初期発病の遅延や初期発病量の抑制効果は認められなかった。
3. 以上のことから福岡県におけるキャンベルアーリーや巨峰を対象にした有機ひ素剤の休眠散布による効果は,常に安定で十分なものとはいえないものと思われた。

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