繊維機械學會誌
Online ISSN : 1883-8715
ISSN-L : 0285-905X
スピニングポツト(紡糸匣)の強さに関する2,3の問題(第2報)
太田 友彌林 卓夫井村 國三
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1951 年 4 巻 11 号 p. 652-658

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抄録

研究目的スピニングポツトの強度を各種の立場から観察して、ポツトの最適寸法を定める設計公式を与えんとするにある。研究結果本報は前報に引続きポツトに関する種々の事柄を検討した。即ち、先つケークを入れていないポツトの強度の計算式を比較して、最も簡単な式即ち、 (1) 式σt=γω2/g (r0+r1/2) 2でポツトの強度の判定かつくが、これには一見設計の常識と矛盾する点のあることを述べ、この矛盾を解決するにはケークの影響を考慮しなけれはならないことを示した。その結果、帯張力を最小にするポットの最適厚さのあることを示し、その厚さを求める実用的図式解法を与えた。なお鋼線入リポツト無加工ポツト等の如き特殊ポツトの強度を論じ、又二三のポツト強度試験法の利害得失について論及した。然るに今までのポツトの廃品を見ると概ね腐蝕の甚しいものとか、或は平衡か悪いためにモータの廻転軸から飛び出して破損したもの.或は取扱いの乱暴なために衝撃により破損したものか総てのようである。斯様な事実を考えるとポツトの強度は腐蝕と平衡と衝撃とそれに風損といつた事柄も併せ考えて愼重に論じなけれはならない。これ等は残された今後の研究課題である。

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