三重県南勢地方に産する大発生終息後のクワゴマダラヒトリ個体群に関して, その発生消長や天敵相, 個体数消長等の調査を行った.
1, 調査地で発見された卵塊数の約90%がカラスノサンショウに産付されており, また卵塊密度は1977年から1978年の世代にかけて増加傾向を示した.
2, 観察された天敵類は, 本種が巣網を張って集合生活する秋季には, 17科にも及び多様性に富んでいた.
3, 個体数消長によると, 本種は越冬時の6~8令幼虫に達するまでに, 最初の個体数の大部分が失なわれ, その間の死亡率のピークは, 卵期と1令期及び越冬前の5,6令期に見られると考えられた.卵期と1令期ではアリとクモによる捕食, 5, 6令期では移動時の消失が, 主要な死亡要因として観察された.