関西病虫害研究会報
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土壌殺菌剤の効果と殺菌作用IV.鉢試験法の条件(2)
川瀬 保夫木下 富雄一谷 多喜郎高橋 実
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1970 年 12 巻 p. 1-6

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抄録

本論文は第3報に続いて, 接種源の接種深度, 灌水, 土壌殺菌, 指標植物の種類が防除効果におよぼす影響について調査し, 殺菌剤の鉢試験法の実施条件を検討し, その方法を確立した.
接種源の接種深度は0cmすなわち表面接種において2.5cm接種より防除効果は低い. 接種操作の簡単なこと, 病原性の強いことから表面接種が適当である.
1鉢当たりの施用有効成分量を同一にし, 液量を変えた場合に効果には大差がみられず, 効果は有効成分量の多少に大きく支配される.
薬剤灌注前の土壌への灌水と無灌水の防除効果を比較するとその差はほとんどない. 径12cmの鉢に50m1の薬液灌注を土壌表層に均一に施すことは困難であるが, 灌水処理によって実施が容易となる.
無殺菌土壌は殺菌土壌に比べ効果は高いが, 目的以外の病原菌による不時の病害発生を考慮した場合, 殺菌土壌を使用すればその危険もなく有利と考えられる.
指標植物の種類によって効果は異なり, 罹病性の高い植物では低い傾向がある. また効果の高い薬剤はいずれの植物でも効果は高く評価される. このことから薬剤検定はそれぞれの防除を対象とする作物を指標植物として用い, 効果を判定する必要がある.

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