地理学評論 Ser. A
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近接性からみた盛岡市における生活環境の分析
関根 智子
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1992 年 65 巻 6 号 p. 441-459

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抄録

本研究では,研究地域として岩手県盛岡市を選び,施設規模と需要密度を考慮した生活関連施設への近接性を測定した.8指標に対し,居住地区(1キロ・メッシュ)を4等分し,それらの4つの中心点ごとに利用可能な施設単位数を測定し,その平均値に基づき地域分類を行なった.
その結果,近接性からみた居住地区の生活環境は,「非常に良い」から「非常に悪い」の5レベルに分けられた。中心部には,生活環境の「非常に良い」地区がみられた.「普通」の地区は, DIDの内部とほぼ一致しており,さらに,ニュータウンとその周辺でもみられた.DIDの外側では,生活環境は急激に悪化した.居住地区における利用可能な施設単位数の最高値,最低値に対しても同様に地域分類を行ない,平均値と比較した.地区内変動の激しい地区は,ニュータウン周辺とDID内のコミュニティ・センター周辺であり,センターに近い地点では生活環境が良いが,そこから離れると急激に低下した.居住地区間と居住地区内における近接性からみた生活環境の変動を比較すると,居住地区内では3レベルとかなり大きな変動がみられるが,居住地区間では5レベルとさらに大きく変動しており,地区間の比較分析がより重要であることが明らかとなった.

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