2013 年 43 巻 2 号 p. 47
カナダ北極海の海氷上において,雪の同位体比の観測を行った。2011年3月から5月まで海氷上を徒歩で移動する間に,23個の積雪と4個の降雪サンプルを採取した。雪のδ18Oは-25‰から-35‰,d-excessは3‰から13‰の範囲にあり,天水線はδD=8.4*δ18O+18.7である。本研究では,雪のδ18Oは地上気温との間には,相関は全く認められない。雪のδ18Oの時間変動は水蒸気フラックスの卓越方向に影響されており,δ18Oが小さい時期には北または東から,δ18Oが大きい時期には南西からの水蒸気フラックスが卓越していた。