第四紀研究
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論説
斜長石斑晶の屈折率を用いた火山噴出物の識別
—榛名火山南麓を中心に分布する噴出物を例に
大石 雅之下司 信夫下岡 順直
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2012 年 50 巻 6 号 p. 295-308

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抄録

斜長石斑晶の屈折率を用いた火山噴出物の同定・対比法の有効性を詳細に検討するため,重鉱物の屈折率では識別が困難な榛名火山起源の噴出物について,斜長石斑晶の屈折率分析を行った.その結果,斜長石斑晶の屈折率によって,5~6世紀に相次いで生産された噴出物,32ka の榛名三原田降下軽石,45ka の榛名八崎降下軽石および白川火砕流堆積物について,互いの識別が可能になった.主成分化学組成からも,屈折率分析と同様の結果が得られ,斜長石斑晶の屈折率による火山噴出物の識別が有効であることが示された.
また,榛名火山南麓に主として分布する白川火砕流堆積物中に,斜長石斑晶の屈折率が明瞭に異なる火砕流堆積物が存在することが確認された.これを新たに里見火砕流堆積物と呼ぶことにする.

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© 2012 日本第四紀学会
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