日本環境感染学会誌
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短報
中規模病院外来部門における抗菌薬適正使用支援による経口抗菌薬使用量および検出微生物の抗菌薬耐性率低減への効果―AMR対策アクションプランの成果指標の達成―
倉田 賢生堀内 寿志斧沢 京子
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2021 年 36 巻 5 号 p. 257-263

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抄録

福岡市民病院外来部門における抗菌薬適正使用支援(AS)の効果を評価した.2011年1月から2020年12月までに外来患者に処方された各系統経口抗菌薬の使用密度(AUD)および治療日数(DOT)ならびに検出微生物の抗菌薬耐性率を求め,ASを開始した2016年前後で比較した.また,薬剤耐性(AMR)対策アクションプランの成果指標との比較を行った.AS開始後,第3世代セファロスポリン系,マクロライド系,およびフルオロキノロン系のAUD(およびDOT)はAS開始前と比較しそれぞれ83.8%(83.3%),49.8%(59.9%)および40.5%(37.3%)有意に減少し,P. aeruginosaおよびE. coliのレボフロキサシン耐性率ならびにS. pneumoniaeのエリスロマイシン耐性率も有意に低下した.ASにより抗菌薬使用量が減少し,その結果各微生物の抗菌薬耐性率が低下したと考えられた.また,AMR対策アクションプランが掲げる複数の目標を満たした.中規模病院外来部門において,ASは一病院単独の実施によっても一定の効果をもたらすことが示唆された.

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© 2021 一般社団法人 日本環境感染学会
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