2021 年 33 巻 195 号 p. J109-J113
膵臓ランゲルハンス島の大半を占めるβ細胞(膵β細胞)は、血中のブドウ糖の濃度に応じてインスリンを分泌する機能を有しており、他の組織や細胞ではその機能を代償することができない。この膵β細胞に障害が生じるとインスリン分泌不全による耐糖能異常を経て、ゆくゆくは糖尿病を発症する。膵β細胞のインスリン分泌に関与する因子は多くかつ詳細に調べられてはいるが、近年、ヘパラン硫酸がマウスの膵β細胞に存在しており、膵β細胞の機能維持に関与していることが明らかになってきた。本ミニレビューでは膵β細胞におけるヘパラン硫酸プロテオグリカンの役割について、筆者の行っている最近の研究で得られた知見も含めて紹介する。