Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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がん幹細胞における代謝プログラミングとヒアルロン酸合成
泉川 友美板野 直樹
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2018 年 30 巻 176 号 p. J123-J130

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抄録

がん幹細胞は、自己複製能を保持し、がんの発生と進展に働くがん細胞を生み出す。また、がん幹細胞は、抗がん剤や放射線治療に耐性を示し、がん再発の原因であると考えられている。そのため、がん幹細胞性を制御する分子機構を明らかにすることは、がんの進展や再発を標的とする新規の治療法の開発につながると考えられる。最近、がん細胞が、がん幹細胞状態へと動的に変化する「可塑性」を保持していることがわかってきた。このがん細胞の可塑性には、特に糖代謝における代謝リプログラミングが強く関与していることが示唆されている。著者らは、最近、ヒアルロン酸(HA)の産生が、乳がん細胞の代謝プログラムやがん幹細胞性の制御に働くことを明らかにした。本総説では、著者らが明らかにしたHA産生により誘導されるがん幹細胞の代謝リプログラミングについて概説する。

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© 2018 FCCA (Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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