日本外科系連合学会誌
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穿孔性虫垂炎による汎発性腹膜炎に起因した卵巣膿瘍の1例
中森 康浩水島 恒和位藤 俊一水野 均小澤 秀登狩野 孝福家 信二今北 正美岩瀬 和裕
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2006 年 31 巻 6 号 p. 971-974

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抄録

症例は43歳, 女性。脳性麻痺および卵巣チョコレート嚢胞の既往がある。平成16年9月に急性腹症にて当院救急外来を受診した。脳性麻痺のため理学的所見に乏しく保存的に加療していたが第2病日より腹痛が増強した。腹部CT検査にて虫垂穿孔, 汎発性腹膜炎が疑われ虫垂切除術および腹腔内ドレナージ術を施行した。術後第9病日より発熱および炎症反応の上昇を来した。原因を精査するも明らかな感染源は不明であった。虫垂切除後27日目に経膣超音波にて卵巣膿瘍を指摘された。卵巣膿瘍に対し両側付属器切除術および腹腔内ドレナージ術を施行した。術後は発熱を認めず炎症所見も軽快した。卵巣嚢腫に感染が合併することは少ないが, 腹膜炎術後は卵巣嚢腫への感染も念頭に置くべきであると考えられた。

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