2005 年 30 巻 6 号 p. 911-915
症例は38歳女性。34歳時に胃癌Stage IV (se, n2, P0, H0, M0, CY1) で胃全摘術を施行。病理所見では低分化型腺癌 (por) with印環細胞癌 (sig) であった。手術時の腹腔内抗癌剤投与および術後化学療法を施行した。胃癌術後約3年目に血便出現し, 大腸内視鏡検査で直腸に隆起性病変を指摘された。生検ではsigであり, 骨盤腹膜再発と診断し, 化学療法を行った。術後4年目に便秘, 腹部膨満感出現し入院。腹部CT検査でダグラス窩に腫瘤を認めたため, 直腸切断術, 子宮摘出術, 膣合併切除術を施行した。病理所見でダグラス窩腹膜再発巣は, por with sigであった。胃癌術後の腹膜再発に対する治療として, 根治手術が期待出来ない症例が大多数を占めるため, 再手術となる症例は限られる。今回, 胃癌術後4年目に限局性骨盤腹膜再発を認め, 手術を施行しえた症例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する。