2005 年 30 巻 6 号 p. 847-850
乳腺invasive micropapillary carcinoma (IMPC) は, 乳癌取扱い規約において独立した組織型ではないが, リンパ節転移の頻度が高く, 生物学的悪性度の高い癌として近年注目されている。症例は68歳女性。乳検診にて左乳房腫瘤を指摘され, 当科紹介受診となった。超音波検査では, 左乳房AE領域に15×11mm, 辺縁不整, 内部不均一で微細なechogenic spotを伴う腫瘤を認め, 同側腋窩リンパ節の腫大も認めた。マンモグラフィーでは分枝状の微細石灰化を区域性に認め, Category Vであり, 穿刺吸引細胞診ではClass Vの診断であった。手術は胸筋温存乳房切除術+腋窩リンパ節郭清術 (Bt+Ax) を施行。病理組織診断はIMPCであり, リンパ節転移 (14/14) を認めた。ER (-), PgR (+), HER2 score0であった。現在, 術後の補助化学療法 (CEF) を施行中し, 経過観察中である。