2002 年 27 巻 5 号 p. 729-733
大腸癌による悪性小腸イレウスは, 原発巣やその転移巣, 再発による癌組織が小腸の壁外から浸潤することで, 狭窄から完全閉塞へ至り単純性イレウス症状を呈する。狭窄や閉塞部位は, 十二指腸から直腸の間に認められ, 2カ所以内では原発巣の癌直接浸潤例および局所再発例, 3カ所以上では腹膜播種性転移, リンパ節転移では十二指腸や空腸起始部に直接浸潤した例が多い。臨床経過は, イレウス管による消化管減圧のみでは, 癌の進行のため全身状態は悪化をきたす。よって, 個々の症例に合わせた術式 (バイパス手術, 腸切除, 根治手術) の選択を行い, イレウス管から解放することや経口摂取可能にすることが望まれる。