日本外科系連合学会誌
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肝癌における凍結療法の現況
渡邊 正志中崎 晴弘小林 一雄平野 敬八郎
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2001 年 26 巻 5 号 p. 1213-1221

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抄録

肝癌の治療法として凍結療法は欧米においてはほぼ定着した治療法で, すでに2,000人以上の患者が治療され, その適応, 方法, 合併症, 治療成績など出揃った時期である。肝凍結治療はわれわれの教室において初めて臨床応用した方法で, 1990年代後半までに68症例に施行しており, このうち15例は経皮的肝穿刺法で行っている。うち最も経過観察ができた大腸癌肝転移30例の累積生存率は1年59%, 3年25%, 5年17%であった。凍結療法は他のablation therapyにくらべ破壊力は強いが血管に対して比較的やさしいという特徴があり, 免疫誘導, 抗癌剤濃度の上昇など他の方法より優れた面がある治療法である。肝腫瘍の治療においては, 諸外国より本邦が先んじてきた治療法が多いが, 凍結治療については諸外国の経験, 成績, 工夫などを考慮しながら進めていかなければならないと思われる。

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