日本外科系連合学会誌
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症例報告
胃憩室と胸部食道癌を同時切除後に胃管再建を行った1例
兼定 弦野崎 功雄大澤 真那人羽藤 慎二高畑 浩之
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2023 年 48 巻 2 号 p. 110-116

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抄録

胃憩室は他の消化管憩室と比較して稀である.今回,われわれは胃憩室と胸部食道癌の同切除症例を経験したので報告する.症例は53歳女性.咽頭痛とつかえ感を主訴に前医を受診し胸部食道癌と診断され,精査加療目的に当科に紹介された.精査の結果MtLt,2型,扁平上皮癌,cT3N2M0,cStage Ⅲ(規約第11版)と診断された.精査中に胃穹窿部後壁に直径約10cmの胃憩室も指摘された.術前化学療法としてcisplatin+5-FU療法を2コース施行後に胸腔鏡下食道亜全摘術,3領域リンパ節郭清を行った.腹部操作は開腹で行い,胃憩室が切除側に含まれるよう胃管を作製し後縦隔経路再建術を行った.病理組織学的検査で胃憩室は粘膜から粘膜下層までは認めたが固有筋層は認めず仮性憩室と診断された.術後に合併症は認めず,術後22日目に退院した.

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© 2023 日本外科系連合学会
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