日本外科系連合学会誌
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症例報告
肝周囲膿瘍を伴う急性胆囊炎に対し腹腔鏡下胆囊摘出術を施行後,肝表の仮性動脈瘤形成および出血をきたした1例
藤田 翔平篠﨑 浩治松本 健司笹倉 勇一寺内 寿彰木全 大古川 潤二
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2020 年 45 巻 4 号 p. 374-378

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抄録

今回,肝周囲膿瘍を伴う急性胆囊炎に対し腹腔鏡下胆囊摘出術を施行後,肝表の仮性動脈瘤形成および出血をきたした1例を経験した.症例は75歳,男性.入院4日前から発熱,右季肋部痛があり近医で抗菌薬加療をされていたが,症状の改善を認めず当院を受診となった.造影CTで胆囊腫大,肝表の低吸収域を認め,肝周囲膿瘍形成を伴う急性胆囊炎と診断した.入院後保存的加療を施行し,入院6日目に腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した.術後2日目に血圧低下,貧血,肝機能異常を認め,腹部CTで肝表面の仮性動脈瘤形成と診断し,緊急で経皮的動脈塞栓術を施行し,右肝動脈の末梢と,左胃動脈からreplaceした左肝動脈の末梢に多数の仮性動脈瘤を認め塞栓した.その後軽快し,術後62日目に退院となった.肝表の仮性動脈瘤形成は,肝周囲膿瘍の炎症の波及による可能性を考える.手術前および手術時の肝周囲膿瘍の適切なドレナージが必要と考える.

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© 2020 日本外科系連合学会
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