2018 年 43 巻 6 号 p. 1084-1088
症例は28歳女性.知的障害のため施設入所中で,以前より腹痛を繰り返していた.入院日の朝から続く腹痛のため当院へ救急搬送となった.来院時の腹部CT検査でChilaiditi徴候を伴う盲腸軸捻転症Ⅱ型(loop type)と診断し緊急手術の方針とした.腹腔鏡下に肝右葉と横隔膜に挟まれた上行結腸を整復後,捻転した上行結腸を反時計回りに180度回転することで捻転を解除した.腸管壊死所見を認めなかったため,右側腹壁と7針固定する腹腔鏡下盲腸固定術を施行した.術後経過は良好で,2年後の現在まで腸閉塞の再発を認めていない.盲腸軸捻転症に対する腹腔鏡下盲腸固定術は腸管の状態に配慮すれば有用な術式と考えられた.