日本外科系連合学会誌
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症例報告
小児外傷性十二指腸穿通に対して単純縫合,漿膜パッチにて治療しえた症例
中川 将視飯島 広和河野 伸次五十嵐 優人山本 龍一荻野 秀光渡部 和巨
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2018 年 43 巻 6 号 p. 1048-1052

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抄録

症例は10歳男児.自転車運転中に転倒し,自転車のハンドルが腹部に落ちて受傷.同日当院救急外来を受診した.診察上は腹部所見に乏しく帰宅.翌日腹痛増悪,嘔気,発熱にて再度受診した.来院時に施行した腹部エコー検査,胸腹部造影CT検査にて,腹水の貯留,腸管の拡張があり,また十二指腸水平脚より後腹膜に気腫像を伴う液体貯留を認めた.外傷性十二指腸穿通の診断にて緊急手術を施行した.術中所見にて十二指腸水平脚の前面に5mm大の穿通部を確認した.十二指腸穿通部を単純縫合にて閉鎖し,トライツ靭帯より20cm肛門側の空腸による漿膜パッチにて補強を行った.減圧のため胃瘻を造設し,吻合修復部に16Frセイラムサンプチューブを留置した.術後10日目に経口摂取を開始し,術後24日目に退院となった.比較的希な外傷性十二指腸穿通に対して診断に苦慮したが,緊急手術にて治療しえた症例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.

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© 2018 日本外科系連合学会
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