2014 年 39 巻 5 号 p. 865-869
症例は79歳女性で,右乳房腫瘤を主訴に当科を受診した.乳腺超音波検査でC領域に19×18mm大の低エコー腫瘤を,D領域に10×9mmの類円形低エコー腫瘤を認め,穿刺吸引細胞診でそれぞれClassⅣおよびClassⅤと診断された.右乳癌(c-T1cN0M0 Stage I)の診断で,右乳房部分切除術およびセンチネルリンパ節生検を施行した.切除標本は45×20×20mm大の灰白色調の腫瘍であった.病理組織学的には,管状胞巣状増殖を認める腫瘍細胞と大小胞巣状の間質浸潤成分から構成されており,全体の4分の1程度の範囲に軟骨様器質細胞を認め,骨・軟骨化生を伴う浸潤癌,t2n0(0/3)ly(-)v(-)ER(+)PgR(+)HER2(-)と診断された.術後3年4カ月の現在,術後補助療法としてアナストロゾールを投与中であり,再発徴候を認めていない.