2012 年 37 巻 5 号 p. 941-945
症例は79歳,女性.右乳房の腫瘤を自覚し来院した.マンモグラフィおよび超音波で,辺縁不明瞭な腫瘤像として描出され,同側の腋窩に腫大したリンパ節を認めた.針生検を施行し,浸潤性微小乳頭癌(IMPC)の術前診断を得た.術前検査で,CA15-3は111.9 U/mlと高値で,CEAも7.7U/mlと軽度の高値であった.手術は,胸筋温存乳房切除術および腋窩リンパ節郭清を施行した.手術標本の病理組織は,IMPC,pT2,pN2(17/18),ly(2),ER(+)であった.術後weekly paclitaxel療法を施行したが,5クール終了後にはCA15-3値は上昇傾向を示した.術後6カ月後より内分泌療法(letrozole)に変更し開始したところ,CA15-3は著明に低下しはじめ,5カ月後にはCA15-3およびCEAはともに基準値内となった.術後23カ月の現在,内分泌療法を継続しながら無再発で経過観察中である.