2008 年 33 巻 2 号 p. 223-226
症例は58歳,男性。右鼠径ヘルニアの自己徒手整復時に腹痛が出現,他院で消化管穿孔と診断され,当科に転送された。入院当日緊急手術を施行し,空腸穿孔を認めたが,穿孔部周囲に虚血性の変化はなく,自己徒手整復時の損傷による小腸穿孔と診断した。穿孔部閉鎖と腹腔洗浄ドレナージを施行したが,腸管の浮腫膨隆のため閉腹不能であった。滅菌シートを開腹創に縫着し,入院第5病日にあらためて閉腹術を施行した。さらに第31病日に鼠径ヘルニア根治術を施行し,第43病日に退院した。