日本外科系連合学会誌
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症例
大腿静脈より挿入したIVHカテーテルが下腹壁静脈に迷入し腹直筋膿瘍を呈した1例
山田 正樹丹羽 浩一郎高橋 玄石戸 保典新村 光司五藤 倫敏奥澤 淳司冨木 裕一坂本 一博
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2007 年 32 巻 6 号 p. 914-917

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抄録

症例は80歳, 女性。上行結腸癌腹壁浸潤の診断で平成18年5月9日右半結腸切除術を施行した。術後第12病日に急性胆嚢炎を併発し経皮経肝胆嚢ドレナージ術を施行し, 同時に右大腿静脈よりIVH (intravenous hyperalimentation) カテーテルを挿入した。胆嚢炎の症状は軽快したが, 第23病日に右下腹部痛が出現, 翌日39℃台の発熱とともに右下腹部に著明に肥厚した腫瘤を触知した。CT検査では肥厚した腹直筋内にIVHカテーテルを認めた。右大腿静脈より挿入したカテーテルが下腹壁静脈に迷入して生じた腹直筋膿瘍と診断し, 同日緊急手術を行った。カテーテルを抜去し, 右腹直筋直上を切開したところ浮腫状に変性した腹直筋と膿瘍を認めドレナージ術を施行した。IVHカテーテルによる稀な腹直筋膿瘍の1例を経験した。挿入後のX線検査で, 念入りに位置確認を行うことが重要である。

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© 2007 日本外科系連合学会
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