日本外科系連合学会誌
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症例
術前に直腸GISTを疑い開腹時に腫瘍破裂を認めた1例
小林 健一
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キーワード: 直腸, GIST, 術前診断
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2007 年 32 巻 6 号 p. 890-894

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抄録

症例は67歳の男性で, 平成17年9月から便通異常を認め, 近医を受診した。腹部CT, 超音波検査で大腸癌を疑われ, 当院に紹介された。精査で96×61×76mm大の嚢胞成分を伴った直腸GISTを疑い, 12月にHartmann手術, 小腸部分切除を施行した。手術所見では, 開腹時に腫瘍はすでに破裂し腹膜播種を認め, 小腸と強固に癒着していた。病理組織学的検査では, KIT陽性, CD34陽性, α-SMA弱陽性, S-100蛋白陰性, 細胞分裂像数も50HPFにつき5~10認められ, 小腸への浸潤および腹膜播種を伴うGISTと診断された。以上, 術前に直腸GISTを疑い手術を施行し, 開腹時に腫瘍破裂を認めた直腸の嚢胞成分を伴ったGISTの1例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する。

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© 2007 日本外科系連合学会
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