色材協会誌
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非イオン性界面活性剤吸着にともなう単分散ラテックスの電気二重層の弱体化について
単分散ラテックスの虹彩と構造について (第II報) -電導度と相転移
小林 陽子
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1979 年 52 巻 1 号 p. 10-16

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抄録

単分散ラテックスは, その粒子濃度とイオン濃度を変数にして, 干渉色を示す結晶相と, 乳白色の不定形相とその両者の共存領域とで, 相平衡図を描くことができる。
この現象は統計力学におけるKirkwood-Alderの相転移理論で解釈すれば説明のできることは, すでに報告した。
そしてこの相転移は粘度測定によっても, その存在を確認することができ, これも報告した (“色材”, 51,641, 1978) 。
Alder相転移によれば, この構造系においては, 粒子は斥力と熱運動とでorderをつくっている。
この結晶構造をもち干渉色を示しているラテックスに, よく精製した非イオン性界面活性剤溶液を添加していくと, イオン性ではないのに, ある点では急に干渉色が消えて乳白色になった。
これは非イオン活性剤を吸着したラテックスは, 吸着しないラテックスに比べて, その表面荷電の解離が減少して, 電気二重層が弱体化し, 結晶相から不定形相へと相の変化を生じたためと推定できる。
今回は非イオン活性剤吸着にともなう, ラテックスの結晶→不定形への相転移を, 電導度測定によって調べた結果を報告する。

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