1961 年 34 巻 10 号 p. 459-463
熱硬化エポキシ樹脂皮膜の高温弾性率の挙動をゴム弾性論によって検討した。
ガラス転移後のプラトー領域における剛性率はアミン硬化低融点エポキシ樹脂皮膜では正の温度こうばいを, アミン硬化高融点エポキシ樹脂皮膜ではゼロの温度こうばいを, 一方ポリアミド硬化高融点エポキシ樹脂皮膜では負の温度こうばいを有する。Floryのゴム弾性論に基づく計算結果ではアミン硬化低融点エポキシ樹脂皮膜はアミン理論当量における橋かけ密度は一致せず, これに対しアミン硬化高融点エポキシ樹脂皮膜ではアミン理論当量と橋かけ密度とはかなり良く適合する。エポキシ樹脂の種類によるこのような相違は結び目間鎖の長さに相違があることにより, エポキシ樹脂皮膜のstatistica lequivalent link は4モノマー単位であると推論した。