2023 年 96 巻 12 号 p. 390-394
地球上の水循環をモニタリングする上で,人工衛星による地球観測は重要なツールである。地球上の水循環を考える中で淡水のリザーバである極域の雪氷は現在進行している地球温暖化の下でその動態が大きく変化しており,海水準変動への寄与という形で,人類共通の喫緊の課題として認識されている。本論文では,極域の変動を把握するためのツールとして,また衛星地球観測が捉えたトピックとして,北極海氷や陸上積雪の推定手法や,極地氷床の質量やアルベドの変化を解説する。また,その変化を捉えるための礎となる現場観測とあわせて,極域の水を巡るこれまでの取り組みについて紹介する。