日本透析療法学会雑誌
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血液透析の穿刺針刺入痛防止のためのdermal patch anesthesia
松下 和孝北本 康則赤嶺 元子井上 武明中山 真人三嶋 基弘加納 龍彦
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1991 年 24 巻 12 号 p. 1563-1566

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抄録

血液透析時の穿刺針刺入痛を軽減する目的で10%リドカイン水性ゲル貼付による皮膚麻酔を試みその有用性について検討した. 慢性糸球体腎炎を原疾患とする維持透析患者11名に経皮吸収促進剤GAHPhを3%添加した10%リドカイン水性ゲル約0.3gを貼付した. 方法は, 一辺20mm, 厚さ1mmの正方形のスポンジを作り穿刺予定部位2箇所に自己貼付し穿刺針刺入時の無痛効果をペインスコアにて評価し, 併せて局所皮膚反応も観察した. ゲル貼付から最大鎮痛効果発現までには60分を要したが, 11症例に計94回使用した結果では, 穿刺時刺入痛は “少し痛かった” 以下であり, また貼付部位の炎症性変化など認めなかった. GAHPh添加10%リドカイン水性ゲルを穿刺予定部位に貼付するという簡単な方法で無痛効果が得られることは, 長年にわたり繰り返し穿刺される透析患者には極めて朗報と思われた.

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© 社団法人 日本透析医学会
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