日本透析療法学会雑誌
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アンケート調査よりみた2次性上皮小体機能亢進症患者に対する看護のあり方
北澤 澄子伊藤 はつ子安田 直津子浜川 美穂伊藤 綾野梅村 晴江
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1989 年 22 巻 12 号 p. 1337-1340

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抄録

2次性上皮小体機能亢進症の進行に伴ない, 透析患者は種々な症状を訴えている。今回, 上皮小体摘出術施行患者について症状の推移を検討調査したので報告する。当腎センターで上皮小体全摘出後, 前腕筋肉内自家移植を施行した患者79例について, 骨病変による症状と考えられる骨・関節を主とする疼痛・筋力低下・歩行困難, 骨病変以外の自覚症状として, 掻痒・イライラ・不眠とに分け, 更に, 術前・術後の症状の変化について調査を行なった。
高度な2次性上皮小体機能亢進を示す症例では80%何らかの症状の出現がみられた。早期より症状の出現がみられたのは, 骨病変以外の自覚症状として考えられる掻痒・イライラ・不眠などの症状であった。
一方, 骨病変に起因すると考えられる筋力低下・疼痛・歩行困難などの症状は, 透析導入より約10年を境に出現していることがわかった。上皮小体摘出術により掻痒・イライラ・不眠などの症状は術後早期より改善されるのに対し, 骨病変に起因すると考えられる諸症状の改善までに2週間以上の期間を必要とした。また, 骨病変以外の症状で約30%, 骨病変によると考えられる症状で約20%に症状の再発がみられた。今回, 調査方法に分類されづらい点もあったが, 症状の分析, 追跡調査により, 入院中に把握出来なかった点までも表面化でき, 看護スタッフの見解から, 症状に対する対策の再検討と患者指導の有用性を再認識した。

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