2020 年 53 巻 2 号 p. 85-91
症例は66歳, 男性. 糖尿病性腎症による慢性腎不全に対してX-9年より血液透析を開始, 徐々に副甲状腺ホルモンは上昇し, X年血液生化学検査にて血清カルシウムは10.4mg/dL, 副甲状腺ホルモンは568pg/mLと高値を示した. 頸部超音波検査では甲状腺右葉背側, 左葉背側および下極部に血流豊富な8~14mm大の低エコー腫瘤を認め, またMIBIシンチグラフィーでは異所性集積は認めず, 同部位への集積を認めたため, 二次性副甲状腺機能亢進症と診断した. さらに甲状腺に石灰化を伴う血流豊富な結節を認め, 甲状腺癌が疑われた. X年10月甲状腺全摘出術および副甲状腺摘出術を施行, 病理学的検査にて甲状腺癌と診断され, また副甲状腺過形成に加え, 1腺は好酸性細胞腺腫が疑われた. 副甲状腺好酸性細胞腺腫の併発が考えられたSHPTに甲状腺癌を合併した貴重な症例を経験したので報告する.