日本透析医学会雑誌
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特集:AKI
AKIとCKDのクロストーク
高折 光司柳田 素子
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2018 年 51 巻 2 号 p. 159-165

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抄録

従来, 急性腎障害 (acute kidney injury: AKI) は 「治る病気」 と考えられていたが, 近年になり, AKIは致死率が高いのみならず, 末期腎不全や慢性腎臓病 (chronic kidney disease: CKD) に至る予後の悪い病態であることが明らかとなっている. 臨床疫学からはAKIの重症度が強く, また頻度が高いほどCKDへの移行リスクが高いことが示されており, これらのAKI発症後の患者に対しては慎重なフォローを要する. AKIがCKDに進展するメカニズムとして, AKI後の不十分な修復 (maladaptive repair) に伴う, 障害近位尿細管上皮細胞の関与・慢性炎症・微小循環障害・低酸素などが考えられている. 一方でAKI発症にCKDが関与することも示されており, AKIとCKDは双方向的関係を有する病態であることが明らかになっている. 本稿では, 基礎研究・臨床疫学の観点から, AKIとCKDの関連について述べる.

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© 2018 一般社団法人 日本透析医学会
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