日本透析医学会雑誌
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症例報告
維持透析療法中の妊娠期適正栄養量について
—当院3症例での検討—
島田 千賀子国府田 恵郡司 真誠大久保 裕希片山 泰輔佐藤 ちひろ打田 健介海老原 至
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2014 年 47 巻 3 号 p. 199-207

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抄録

 透析患者の妊娠は, 健常女性の妊娠と比べ胎児死亡率や新生児死亡率が高いと報告されている. 日本腎臓学会の腎疾患患者の妊娠に関する診療の手引きによると, 透析患者に対して原則として妊娠は勧められていない. 今回私たちは, 2009年から2012年の3年間に出産目的で転院して来た血液透析患者3症例の周産期栄養管理を行った. 血液透析期の個別栄養量を基本に, 妊婦の付加量および連日透析によるアミノ酸, ミネラル, 水溶性ビタミンの損失量等を考慮した栄養管理を行い, 栄養計画を修正しながら必要栄養量の確保に努めた. 症例1は27週に帝王切開443gで出産APGAR score (5分後) 9点, 児は約1か月後に死亡, 症例2は35週に帝王切開1,652gで出産APGAR score (5分後) 9点, 症例3は34週に帝王切開1,783gで出産APGAR score (5分後) 9点であった. 症例2と3はその後の児の発育も良好である. 今回の3症例の経験から血液透析患者の妊娠出産では個別栄養管理が必要であることが示唆された.

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© 2014 一般社団法人 日本透析医学会
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