日本透析医学会雑誌
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集学的治療により救命した重症ガス壊疽合併糖尿病性透析患者の1例
松尾 博司筬島 明彦椛島 成利下池 朋子田村 雅仁穴井 博史瀬川 賀世子鐘江 香徳永 昌樹中島 康秀
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2003 年 36 巻 5 号 p. 359-362

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抄録

症例は53歳女性. 1998年より糖尿病性腎症による慢性腎不全で血液透析導入. 2000年11月11日より発熱, 13日には左側腹部から臀部, 陰部および左大腿部に疼痛・発赤・腫脹が出現し, 握雪感を認めた. 腹部, 大腿部単純写真およびCTにて皮下ガス貯留像を認め, ガス壊疽と診断した. 左側腹部から左大腿部の切開排膿およびデブリートメントを施行した. 術所見より肛門周囲膿瘍が原因と考えられた. 術後はDICを併発し, ショック状態を呈した. CHDFを施行し抗生剤および抗凝固剤の投与に加え, 高圧酸素療法を併用した. 起因菌としてBacteroides属を認めた. 1か月の経過にて同部の炎症は消退し, 植皮術を施行し2001年2月17日に退院した. 糖尿病を基礎に有し, 肛門周囲膿瘍が原因と考えられる血液透析患者の重症ガス壊疽の発症に対し, 集学的治療にて救命し得たので, 若干の文献的考察を加え報告する.

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